建設請負工事における電子契約
建設業における契約では建設業法第19条により書面交付が義務付けられています。しかし、2001年のIT書面一括法の施行により、建設業法も書面交付の手続きに加えて電磁的措置が許容されるように改正施行されています。
① 建設業法改正の経緯
従来、建設業法第19条では、あらゆる請負契約の当事者に対して請負契約の内容を書面に記載して相互に交付することが義務付けられていました。建設工事の請負契約の当事者とは、発注者と元請負人との間に締結される契約の当事者のみならず、下請契約の当事者すなわち元請負人と下請負人も含むものです。
IT書面一括法の改正により、建設業法でも第 19 条(建設工事の請負契約の内容)、第 19 条の(現場代理人の選任等に関する通知)、第 22 条(一括下請負の禁止)、第 23 条(下請負人の変更請求)が改正され、従来からの書面の交付による手続きに加えて電磁的措置が許容されました。
② 建設業法第19条の改正内容
建設業法の改正の具体的内容は、第19条に3項が追加されました。
第19条3項
「建設工事の請負契約の当事者は、前 2 項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。」
③ 建設業法第19条3項の法的要件
上記の第19条3項の追加により、政令及び省令が以下のように改正されています。
1.書面の交付に代えることのできる電磁的措置(省令第13条)
コンピュータ・ネットワーク利用の措置と電子記録媒体利用の措置のいずれかも利用できるとしています。
2.電磁的措置の種類および内容に係る相手方の事前の承認(政令第5条)
電磁的措置の利用に先立ってあらかじめ当該契約の相手方に対してその電磁的措置の種類、内容等を示し、承諾を得なければならないことが定められています。
3.電磁的措置の技術的基準(省令第13条)
上記の電磁的措置のいずれを用いる場合にも以下の技術基準に適合するものでなければならないことが定められています。
①当該契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。(見読性の確保)
②ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。(原本性の確保)